市民の多様な知識と経験が生かされる可能性には、企業等での就業のほか、社会に求められる新たなサービスの起業や次世代への知の伝承など、さまざまな社会活動が含まれます。それらの社会活動に生かされる、あるいは求められる学習成果も多様な観点が考えられるが、市民自らが経験や学習歴を多様な観点で意味づけし、職業や地域・社会に潜在するさまざまな活用機会として捉えることは容易ではありません。たとえば、富山県民生涯学習カレッジを中心に行った「学習成果活用支援試行調査」では、「生かせるかどうか自身では分からない」や「生かす目標が具体的でない、あるいは願望に留まっている」とする市民の課題が指摘されています。このため、これらの市民に対して具体的な活動に結びつくよう支援する側(相談員等)も力量が求められます。

 この活動は、知識・経験を生かした地域活動に取り組もうとする市民に対して、地域の関係機関における効果的な支援プログラムの開発・普及目的としています。各地で行っている支援プログラムや、相談員の研修プログラムの実践支援を行っています。各地の取り組みにあたってご相談ください。

職業や日常生活を通じて、だれもが学び知識を得ていきます。
eポートフォリオは、経験や学びの積み重ねを記録し、振り返り、自身や社会に生かす支援ツールとして、広く活用されるようになりました。
本研究会は、eポートフォリオを個人の活用から、社会で活躍する人材の顕在化を促進する発展的な活用を目指す研究に取り組んでいます。

◾️若者とシニアが学び合うまちづくり

 若者とシニアが定期的に集い、お互いに学び合うコミュニティ「ポケットサロン小杉」(略称:ポケサロ小杉)を発足。地域振興会と短期大学・専門学校が共同で開催、企画・運営支援を私たちの研究会が担っています。
 サロンでは、地域のシニアから近況とその中で考えている課題を持ち寄り、学生は地域の協力を得て健康意識のアンケート調査を実施するなど、お互いに学び合う関係づくりを大事にしています。
 継続的な学び合い・話し合いを促進する手立てとして、スマートウォッチを活用したシニアの健康管理を取り入れています。常時身に付けるスマートウォッチ から心拍数や睡眠記録などがスマートフォンに記録され、そのデータをもとに健康アドバイスを受けるものです。シニアが自らの健康意識を高めるとともに、学生と関心ごとを共有する好機会になり、学生も教科で学んでいることを実践的に深める機会となるものです。合わせて、スマートフォンの継続的な活用によって、シニアの情報バリアフリーにつながることが期待できます。
• このように、若者とシニアが継続的に学び合い、心も体も街も若々しい地域づくりを、地・学一体となって取り組むことにこのサロンが役割を果たすと期待されています。

◾️シルバー情報サポータ活動

 ICTを活用したQOL(Quality of Life=社会的に見た生活の質)の向上を支援する活動です。平成21年度に「富山市シルバー情報サポータ活動」として研究開発と試行運用を行ってきました。高齢になっても情報のつながり、人とのつながりを保ち、社会との多様な接点を通じて出番や生きがいをもった生活を送ることができるよう、さまざまな工夫を行っています。ICTが高齢者の格差を拡げるだけでなく、むしろ、人との情報交流や社会参加に積極的になることに役立つことも示しています。

機械化が進むこの時代だからこそ、ものづくりの心、手仕事の技を、将来の職業を考える子どもたちに伝えたい。
「e手仕事クラウド図鑑」は、さまざまな手仕事職人の働く姿を紹介しています。
子どもたちが興味を持った手仕事について、仕事の難しさ、やりがいなどを取材し、仲間と図鑑にまとめていく中で、子どもたちの目線で職業観を学ぶとともに、情報活用能力を培います。
「e手仕事クラウド図鑑」は、各地のインターネット市民塾などが、それぞれの地域に根ざした手仕事職人を取材し、全国で活用されるよう、クラウド化した電子図鑑です。